合わない場所が、知恵をくれた
半年で辞めた職場のことを、今も思い出します。
長く勤めた職場を離れた後、とある法律系事務所でパートとして働いたことがあります。
半年で辞めました。
合わなかったからです。
でも、そこで学んだことを今も使い続けています。
「元気に挨拶できる人」一点の採用基準
その法律系事務所のトップの採用基準は、シンプルでした。
「元気に挨拶できる人」
それだけです。
前職の繋がりで採用してもらいましたが、入ってみると挨拶の声が小さいと2回注意を受けました。
「悠さんは他の所なら申し分ないけど、うちでは挨拶を大きな声でしてくれないとね。」
自分なりに大きい声で挨拶するように心がけましたが、トップは不十分と感じておられました。
そして、来客者にお茶をお出しする時には、
「社員といくら話し込んでいても、たとえ話を中断することになっても、
『いらっしゃいませー!』と割って入る勢いで元気にお茶を出しなさい。」
とも言われました。
これには違和感がどうしても拭えませんでした。
話の途中に割り込んで大声で挨拶することが、お客様への配慮なの???
私はどうしてもその考えに馴染めませんでした。
半年で辞めた、もうひとつの理由
正社員とさほど遜色のない忙しさでした。
その後に転職した福祉系のパートは、忙しさが半減したのに時給は上がりました。
「環境の合う・合わない」って、こういうことかと体感しました。
仕事の大変さと報酬が必ずしも比例しない。
自分に合っている環境では、同じエネルギーでもっと動ける。
「合わない」と気づいたら、動いていいということを学んだのも、この半年でした。
使える知恵ももらった
合わない職場でしたが、学んだこともあります。
今も使い続けている3つの知恵です。
① スピードもクオリティ
返答が早い、書類の処理が早い、折り返しの電話が早い—それ自体が、相手への敬意であり信頼の証になる。
丁寧に時間をかけることだけがクオリティではない、と学びました。
② 電話での本人確認は「干支」で
なりすましの場合、生年月日は答えられても、干支は咄嗟に出ないことが多いです。
「お生まれの干支を教えてください」という一言が、なりすまし防止になります。
私自身、数字より干支の方がカテゴライズしやすいです。
本人確認の意味合いでなくても、年齢を教えてもらった時に自分が覚えやすいように
「干支はなに?」と聞いてしまいます。
周りには苦笑いされますが。
③書類のダブルチェックは「読み上げ確認」で
一人が読み上げて、もう一人が紙面を目で追う。
声に出すことで、目だけでは気づかないミスに気づけます。
少し手間に感じますが、結局これが早いんです。
「ここにいるからいけないの」
映画「千と千尋の神隠し」で、千尋がカオナシについてこう言う場面があります。
「あの人は油屋にいるからいけないの。あそこを出た方がいいんだよ。」
湯屋では暴走していたカオナシが、銭婆のところでは穏やかになった。
悪者だったのではなく、環境が合わなかっただけでした。
人も、同じかもしれません。
パート先の法律系事務所は私には合わなかった。
でも、その事務所自体が悪い場所だったわけではありません。
「元気に挨拶できる人」という採用基準を貫いた結果、その事務所は今も規模を少しずつ大きくしながら続いています。
スタッフさんの接遇の良さは抜群です。
私が合わなかっただけで、その基準は正しかった。
合わない人が早めに気づいて去り、合う人が残る—これはその事務所の強さだったんだと、今は思います。
合わない場所は、悪い場所じゃない
「合わない」は、ただ「悪い」だけではありません。
努力しても、合わないものは合わないんです。
合わないと感じるから、次は自分に合う場所を選べます。
そして合わない場所からも、学べることがあります。
半年で辞めたその法律系事務所のことを、折りに触れ思い出します。
