「なんで戻してくれないの!?」—カトラリー収納で気づいた、人によって違う「わかりやすさ」
カトラリーが元に戻らない問題
わが家のカトラリー収納、長年の悩みがありました。
箸と、スプーン・フォーク・ナイフで分けて整理しても、夫が片づけに参加するとすぐにバラバラになるのです。
「なんで戻してくれないの!?」
と何度思ったことか。
ある日、娘が提案しました。
「素材で分けたら?木っぽいものと金属っぽいもので。」
娘が試しに分けてみてくれたら…、キープされました。
なぜ夫には機能しなかったのか
娘のアイデアがうまくいった理由を考えていて、情報処理の特性の話を思い出しました。
人が情報を認識・処理する時の優位な感覚は、大きく3つに分けられます(※1)。
- 視覚タイプ→見た目・形・色で認識しやすい
- 聴覚タイプ→音・言葉・リズムで認識しやすい
- 体感覚タイプ→触感・動き・感覚で認識しやすい
娘と私は視覚タイプ。見た目で「箸はここ、スプーンはここ」と認識しやすい。
夫は、体感覚タイプの傾向があります。
素材の違い—木のざらっとした感触と、金属のひんやりした感触—を手で感じながら片づける方が、夫にはしっくりくるのかもしれません。
「今まではこうだった」より、目的を考える
片づけに限らず、こういうことはよく起きます。
「今までこの方法でやってきた」、「この方法の方がわかりやすいはず」という思い込みから、なかなか別の方法を試せません。
でも、片づけの目的は何か?と考えてみると、それは「取り出しやすく、戻しやすい状態にすること」。
目的を達成するための方法は、人によって違うかもしれません。
自分にとって自然な方法が、相手にとっても自然とは限らない。
「今までこうだったのに!」「なんでわかってくれないの!?」とイライラに振り回されているより、目的に立ち返って考える方が、問題がシンプルになります。当たり前のことだけれど、つい忘れがちです。
見え方が違えば、やり方も変わる
父が、赤緑の色覚特性(赤と緑の区別がつきにくい見え方)だと教えてくれたことがあります。
「自分が見てる色を、みんなが同じように見てるわけじゃないんだよ」
という父の言葉が、ずっと頭のどこかにあります。
私自身、視力は0.1以下。裸眼だとかなりぼやけた世界で生きています。
見え方も、感じ方も、人それぞれ。
夫がカトラリーを素材で認識していたのも、「夫の世界の見え方」だったのかもしれない。
「なんでわかってくれないの!?」の前に、相手はどんな風に見えているのかな、感じているのかな、と少し想像してみると、解決の糸口が見つかるのかもしれません。
※1 西剛志『結局、どうしたら伝わるのか? 脳科学者が導き出した本当に伝わるコツ』アスコム、2025年、第3章
